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att. 旅行 - 東京の水上バス
att.JAPAN Issue 29, 2006年7月10日号

東京の水上バス - 時を超える旅

Map水上バス数百年の間、水上路は東京の動脈だった。ずっと前に近代の道路にとってかわられたが、これらの「幹線道路」は、曲がりくねったコースが許すかぎり、いまでも荷を運んでいる。21世紀の地図製作者が川としているものの多くは、厳密に言えば運河である。数世紀にわたる、江戸の住人たちの血と汗と涙の、大規模な埋め立てや干拓事業の開発などによって作られた。

東京の東部、東京湾と東京の北部を結ぶ隅田川は、中世以降おそらく間違いなく、東京の最も重要な水路である。今回att.JAPANでは、北部の浅草と南部のお台場を結ぶコースに焦点をあてよう。日の出に寄り道し、途中1,2ヶ所についてちょっと触れながら。

浅草はかつて江戸、そして後には東京の娯楽の中心で、川も例外ではなかった。多くの船が、飲食をふるまったり娯楽を提供する商売に励んでいた。今でもそれは続いているが、現代においては、多くは定期的に、たとえば毎年ここで行われる花火大会の夜などに盛んである。船旅が公に禁止されていたときの夜の不法取引や、密輸と犯罪の動きは、20世紀初めには人知れずあった。江戸時代半ばには、俳聖、松尾芭蕉も壮年時代のよい取引のために、メインコースからちょっと入ったところに住んでいた。浅草と浜離宮のちょうど真ん中あたりの東岸、常盤には芭蕉記念館がある。

しかし近代化がすすみ、多くの古い水上交通は衰退し、トラックが船にとってかわった。が、そんな現在にも、盛況な船がある。隅田川の水上バスである。浅草-浜離宮(平日は1日13便、週末15便)を35分で、浅草-お台場海浜公園(1日4便)を直行で約1時間、もっぱら音楽をならしながら運航している。過去と現代を行き来するかのような旅だ。

別の行き先、日の出は浜離宮よりも遠いが、お台場よりは近く、定期便がある。が、それ自体が目的地というよりも浅草や浜離宮、お台場からへ行ったり戻ってきたりする起点で使われることが多い。北への、またはお台場周辺や西側への船旅の出発地である。東京ビッグサイト、船の科学館と品川水族館などが行き先だ。それぞれのエリアは途中下車する価値があるとはいえ、1日で観光するには、控えめにいっても実に大変だろう。それでも行ってみたいなら、あるいはもっとゆったりと水上バスを楽しみたいなら、運行時間や料金はウェブサイトで確認できる。船の写真とルートマップも見られる。
http://www.suijobus.co.jp (日本語、英語、中国語)

アサヒビール浅草から、旅を始めよう。このコースでは、12の橋の下を通る。有名な赤い吾妻橋の北にあるターミナルを出発。まずはアサヒビールの建物が目に飛び込む。ビールをついだときの泡を模したビルと、金色の炎がてっぺんにある黒いビルだ。観察力のある乗客たちは、気づくだろう。通り過ぎる橋はすべて実際に違うデザインだが、イメージがつねに変わっていくのは岸の方であると。近代の高層ビルが時代劇にあるような家にとってかわられ、また高層ビルがあらわれる。

30分ほど経過したあたりで、右手を見ると、築地魚市場とその近くの博物館(おさかな普及センター資料館)が見えてくる。世界最大規模の魚市場、築地は、日本では魚と同義で、ほとんど毎日早朝からにぎわっている。ゆっくりと浜離宮を見たい人たちを下船させるために、船は右手に曲がる。浜離宮はかつて将軍の鷹狩の場所。ここで下船すれば、池、茶室、木々や季節の花々の中を散策するコースを楽しめる。特筆すべきは、正門近くのよく手入れされた古い、300年の松。

下船せず浅草から最も遠い目的地お台場へ。波立つ東京湾に入り、少し視界が開け、右手にレインボーブリッジへとつらなる車の列やゆりかもめを見る。近代的な埋立地お台場との間にかかるレインボーブリッジは、もちろん夜景が素晴らしい。が、大きく美しい形は昼間でも印象的だ。

フジテレビ橋の下を通りながら、徐々に左に曲がり、砲台場の間の細い水路を抜けると、正面には巨大なすぐそれとわかるフジTVのビル。そこから2-3分でお台場海浜公園ターミナルに着く。主要な見どころからほんの10mくらいのところなので、電車でお台場に行くよりも便利かもしれない。

ところで船好きには、下船後のこのタイミングが、岸から船を眺められて最も楽しいときかもしれない。いろいろなタイプの船があり、お台場から東京港内を愛犬と一緒に回れる船もあったりするが、なんといってもヒミコが素晴らしい。流線型の外観は、川のクルーズではなく衛星の軌道へ向かうような、もしかしたらそれ以上に近未来的なデザインだ。ヒミコは有名な漫画家松本零士氏がデザインし、重さ114トン、171人プラスクルー(航海士2人、ギャラリースタッフ1人)が乗り、最大速度は12ノット。船首から船尾までは、完全に閉じた空間。乗客用の船室はひとつだが、ガラスと鋼鉄ですっぽり包まれている。あまり深くない船体なので、波の上を移動するのではなく波を切ってすすむように見え、スムーズな乗り心地だ。座るところも限定されていることからわかるように、ヒミコは明らかに未来志向の、速度が遅いもっと大きな船の快適さは求めない人のための船だ。隅田川のような潮のある入り江での乗り降りは少し危険なこともあるので、車椅子の人や体の不自由な人たちが問題なく乗降できるようにつねにスタッフはそばにいて注意をはらっている。

21世紀の近未来的な高層ビルとデパートが林立する中で、水上クルーズほど、現代の技術を使って楽々と過去と現代を行き来できる旅はないだろう。

 地図
pdf東京鉄道地図 (英語) PDF 812 KB
東京地下鉄地図 (英語) PDF 787 KB

 リンク
東京都
東京観光財団


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