高田馬場・早稲田・目白台
東京の新都心・新宿と副都心・池袋の中間に位置するのが高田馬場・早稲田・目白台のエリア。高田馬場には、江戸時代(1603-1867)の初期に馬場があり、地名もこれに由来する。日本の私学の雄、早稲田大学を有する学生街でもある。
 高田馬場の決闘
この地を有名にしたのは、忠臣蔵でも有名な堀部安兵衛(1670-1703)。
1694年3月6日、高田馬場の決闘が起こった。伊予西条藩士の村上庄右衛門は藩主の御前試合で菅野六朗左衛門に負けた。これを遺恨に思った庄右衛門は六朗左衛門に再度決闘を申し込む。決闘当日の朝、命を落とすことになるかもしれないと思い、六朗左衛門は叔父・甥の契りを結んだ中山安兵衛(後の堀部安兵衛)の家に別れを告げに行く。ところが安兵衛は前夜他所で飲んで酔いつぶれていた為留守であった。六朗左衛門は文を書き残して決闘場所の高田馬場へ向かう。昼近く、酔いから醒め家に戻った安兵衛は、六朗左衛門の文を読むや「すわ一大事」と慌てて八丁堀の長屋から高田馬場へと駆け出す。
実は庄右衛門は決闘と偽り仲間を集め、六朗左衛門を騙し討にするつもりであった。六朗左衛門は数人に取り囲まれ苦戦を強いられていた。そこへ、安兵衛が駆けつけ助太刀。形勢逆転し、不利と見た庄右衛門らは逃げ出した。この決闘で助太刀の安兵衛の活躍は評判になり、後に講談や芝居の題材となった。評判を聞きつけた赤穂藩士の堀部弥兵衛が、安兵衛を娘婿に迎えた。「忠臣蔵」として有名な赤穂義士の敵討ちは、この8年後、1702年に起こり、堀部安兵衛も参加した。安兵衛が、助太刀前に景気付けで立ち寄ったといわれる酒屋が、馬場下、夏目坂の丁度角にある、「小倉屋」(いまはローマ字でKOKURAYA)。
 夏目漱石
小倉屋のある早稲田駅前交差点から夏目坂を上りかけたすぐ左手に、「夏目漱石誕生之地」と刻まれた黒みかげ石の記念碑がたっている。漱石は1867年1月5日、牛込馬場下横町のこの地に生まれた。1905年の「我輩は猫である」で、漱石は文豪として有名になった。早稲田南町の借家に住み、「三四郎」、「門」、「こゝろ」、「道草」などの代表作を次々と発表。1916年5月から連載をはじめた「明暗」執筆中の同年12月9日、持病である胃潰瘍のため、50歳で没した。この地は「夏目漱石終蔦の地」として漱石公園内にあり、胸像が立っている。
学生街 高田馬場
現在の高田馬場は、早稲田の学生たちをはじめ、多くの学生が放課後を楽しむ場所として、学生街の雰囲気を漂わせている。駅前にはスポーツ・アミューズメント・ショッピングなどが楽しめるビッグボックス高田馬場や大型書店もある。また、駅の周辺には居酒屋が多い。
 早稲田
高田馬場駅から早稲田通りを東に、早稲田大学へと向かう。早稲田大学は各界で活躍している人材を輩出しており、文学部は「早稲田文学」とともに多くの文学者を世に送り出した。大学に至るまでの早稲田通りの両側には色々な店がある。明治通りを超えると、早稲田古書店街が始まり、文学や歴史、文庫や趣味関連の古書などが並ぶ。古書店街の先に見えるのが、穴八幡宮。11世紀創建といわれる古社で、虫封じの祈祷で知られる。また冬至に配られる「一陽来復」のお守りも有名。
穴八幡宮を右に見ながら左に折れれば、早稲田大学。早稲田大学坪内博士記念 演劇博物館があり国内外の演劇のすべてがわかる。また、創立者の大隈重信の名を冠した大隈講堂は早稲田大学のシンボルでもある。再開発で高層マンションが立ち並び、大隈庭園を眺める一角には、リーガロイヤルホテル東京が建ち、キャンパスも変貌してきている。
日本の人気どんぶりもの「カツ丼」発祥の地が早稲田というのもの面白い。わが国が発明した独特の和洋折衷料理だ。東京唯一の路面電車、三ノ輪橋までの約12キロを走る都電荒川線は、早稲田から発着。山の手の色濃い地区から下町情緒 豊かな町並みを走る。
目白台
大隈庭園から新目白通りを越え、神田川を過ぎ目白台に向かう。左に見えるのが新江戸川公園で細川家の大きな屋敷跡を公園にしている。2階建ての木造建築と目白台の傾斜した地形を巧みに生かした回遊式泉水庭園。梅、桜、つつじなど四季の花々は見事で都心の喧騒を忘れてしまう。新江戸川公園の奥には細川家に伝来する武器・武具、美術品などを所蔵する永青文庫もある。
新江戸川公園の隣にあるのが椿山荘だ。結婚式を挙げたり、食事を楽しむことができるし、フォーシーズンズホテル椿山荘東京では、宿泊や食事が楽しめる。椿の自生する景勝地であった広大な庭園には三重塔や離れがある。春は桜、夏は蝉時雨、秋には見事な紅葉と、大都会にこんなに自然豊かな別天地があるのも驚きである。
椿山荘の脇には、俳人・松尾芭蕉(1644-1694)ゆかりの史蹟 関口芭蕉庵がある。芭蕉庵から目白台に上る急な坂道が胸突坂だ。この坂を上って目白通りに出ると、ひときわ目につく近代的な建物が目に入る。東京カテドラル聖マリア大聖堂だ。高さ39.4mの雄大な大聖堂の中は静寂さに満たされ、誰もが祈りを捧げたり、見学したりできる。
横には神田川が流れる。1980年代にフォークソングの名曲「神田川」の生まれた地でもある。新江戸川公園から高戸橋に向かっての桜並木は花見の季節には見事に咲き誇る。
高田馬場・早稲田エリアのそぞろ歩きは、他の地域と異なる魅力的な東京に出会える小さな旅だ。時間があったらこのあたりを散策してみてはどうだろう。きっと新たな東京を発見することだろう。
地図
東京鉄道地図
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東京地下鉄地図
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