古の奈良、魅惑の法隆寺

2010年、奈良は平城京の誕生から1300年をむかえる。奈良に都があった時代、大陸との交流をとおし、ユーラシアの各地から様々な文化や文明が取り入れられた。それらは日本古来の文化と結びつき、今も奈良の建築物や美術品に見られる、美しい天平文化となったのだ。
古の都、奈良と法隆寺。そこは宝ものの山。表情豊かな仏像、古い木造建築、貴重な美術工芸品。ここへ来れば、日本の歴史に出会える。今なお残る豊かな自然のなかで、悠久の時が流れる。世界遺産をはじめ、日本最古、世界最古の歴史物がこれでもか、これでもかとせまりくる。
京都などの寺に比べ、ひとつひとつの寺の規模が大きく、敷地も広いので、1日にいくつも回るのではなく、ひとつの寺を時間をかけてゆったり見ることをお勧めする。
 奈良公園周辺
JR奈良駅、近鉄奈良駅からもアクセスがいいのが奈良公園周辺エリア。東西4km、南北2kmの広大な奈良公園周辺には、東大寺、春日大社、興福寺など代表的な寺が点在し、奈良公園では鹿がのどかに草を食む。若草山、高円山、原生林の生い茂る春日奥山まで含む。仏像を安置した堂塔は数知れず、博物館、美術館、宝物殿などの施設も充実している。鹿せんべいも売っている。
東大寺
大仏で有名な東大寺は、743年、聖武天皇の勅願により建てられ、752年、大仏開眼供養が盛大に行われた。南大門は、高さ24m。大仏殿にふさわしい日本最大の山門である。楼門の左右に国宝の金剛力士像が立っている。平成の大修理によって運慶と快慶の作と証明された。
大仏殿(金堂)は世界最大の木造建築だが、現在のものは1709年の再建であり創建当時より3分の2に縮まったという。それでも用材の伐採から完成までに20年以上の歳月を要し、使用された用材は2万6千本余に達したといわれる。東西57m、南北50m、高さ48mにも及ぶ。
大仏は高さ約15m、重さ380t。造立には当時の人口の約半分、のべ260万人もの人々が寄進や作業に関わったといわれ、まさに壮大な国家事業だった。東大寺に中門、金堂、講堂が一直線に立ち並び、東西に高さ約100mの七重塔を従えた黄金の大仏様がまばゆい光を放つ光景はさぞかし壮麗だったことだろう。その後度重なる戦禍にあいながらもそのつど再建されてきた。大仏の鼻の穴と同じサイズの穴(高さ30cm、幅37cm、長さ120cm)があいた柱があり、潜り抜けの子供たちが順番を待っている。細身なら大人でも通れるかも。
三月堂は東大寺最古の、美しい建物。中の仏像もすばらしい。三月堂前にあるのは手向山八幡宮。三月堂横の石段を登れば、二月堂。3月にはお水取りが行われる。二月堂の舞台から見る景色は素晴らしく、奈良市内を一望でき、遠くには生駒連山も眺めることができる。そこから裏手に回ると石段と土塀の調和が美しい裏参道に出る。
正倉院は東大寺の宝物庫。聖武天皇の遺品やシルクロードの工芸品、古文書などを収蔵。奈良時代の建物で、三角の木材を組み合わせた校倉造り、高床式で有名。毎年秋に奈良国立博物館で催される正倉院展では、通常非公開の貴重な宝物が見られる。
興福寺
興福寺は藤原氏の氏寺として栄え、南都七大寺のひとつだった。五重塔や東金堂といった国宝の建物や仏像などみごたえがある。猿沢池に映る五重塔は、代表的な奈良の風景のひとつ。
春日大社
藤原氏の繁栄とともに、興福寺と同様、大名なみの勢力を誇るようになった。国宝、重文指定の壮麗な社殿がすばらしい。春日大社に古くから自生するフジは、春日大社にかかわりの深かった藤原氏のシンボルとして大切に扱われてきた。中には樹齢800年の木もあり、花穂が1m以上にも垂れ下がる。
若草山
標高342m、広さ33万㎡のなだかな芝生が広がる。頂上には古墳時代の前方後円墳鶯塚があり、ここからの大仏殿や興福寺五重塔を見下ろす風景もすばらしい。頂上までは徒歩30分。
奈良町
南都七大寺のひとつ、元興寺の門前町だったのが奈良町。11-12世紀につくられた、奈良で一番古い町だ。16世紀には住民の自治が行われるなど豊かな経済力を背景に独特の町民文化が栄えた。格子造りの民家や商家が軒をならべる。奈良町資料館は、江戸時時代から伝わる商家を利用し、生活用具、看板、美術品などを展示している。格子はガラス戸がなかった昔、外から家の様子を隠し、家の中からは外がよくみえる、ハーフミラーのような役目をはたした。ならまち格子の家では、そうした格子造りの民家を再現。三室、通り庭、二階、中庭、離れ、蔵などをみることができる。
行事
毎年1月第2日曜日には若草山焼きが行われる。17:50より冬空に花火が打ち上げられ、18:00に山焼きが点火される。全山が炎に包まれ、冬の夜空を焦がす。
2月節分の日と8月14・15日に行われる春日大社万灯籠。参道に並ぶ約1800基の石灯籠と回廊につるされた約1000基の吊灯籠のすべてに火がともされる。淡い光が松林や朱塗りの柱をほのかに照らす。
東大寺二月堂のお水取り。3月12日の夜をピークに3月1日から14日まで行われる。期間中は毎夜松明行事があり、とくに12日の籠松明は壮観。舞台づくりの二月堂の廊下で松明が振り回され、火の粉が滝となって降り注ぐ。
10月に行われる鹿の角きりは300年続く秋の風物詩。奈良公園の鹿は春日大社の神の使いとして大切にされてきた。雄鹿の角は3月頃自然に落ち、5月頃に新しく生え変わり、10月頃には最も硬くなる。この時期に危険防止のためノコで角を切り落とす。
なら燈花会は、8月6日から15日。あかりをつかい、昼間とは違った古都、奈良を楽しめる。
斑鳩
のどかな斑鳩の里にある法隆寺は、木造建築物としては世界最古。1993年には法起寺とともに「法隆寺地域の仏教建造物」として、日本で初めて世界遺産に登録された。
法隆寺
607年、聖徳太子と推古天皇によって創建されたと伝えられる法隆寺。広い境内には様々な堂が建てられていて、その中の仏像も国宝、重文クラスのものが多数収められている。国宝・重要文化財に指定されたものだけでも約190件、点数にして2300余点に及ぶ。塔・金堂を中心とする西院伽藍と、夢殿を中心とした東院伽藍に分かれている。
南大門をくぐったらまずは西院へ。向かって右に金堂、左に五重塔。これを回廊が囲む。回廊の南正面に中門。さらには大講堂、鐘楼、経蔵などがある。
日本最古の木造建築物、金堂。威風堂々とした建物で周囲の壁面には、世界的に有名な壁画(1949年焼損、現在は再現)が描かれている。金堂内には釈迦三尊像。
仏教寺院において最も重要な建物とされている塔。日本国最古の五重塔だ。高さは31.5m。各層の軒の出が上にいくほど急激に小さくなり、安定感に富んだ美しい姿をしている。
百済観音堂を中心とする東西の宝蔵は、百済観音像をはじめとする寺宝を公開。日本を代表する仏像、仏画、仏具、舞楽面、経典、壁画なども随時展示替えをしつつ公開されている。建物とこの宝物を見れば、法隆寺の創建には日本の仏教文化揺籃期の叡智と技術のすべてと膨大な資材が投入され、その後大切に保護されてきたことがわかる。
東院はもともと聖徳太子が住んでいた斑鳩宮。八角円堂の夢殿がある。
中宮寺 / 法起寺
中宮寺には、世界三微笑といわれる飛鳥時代の傑作、弥勒菩薩像がある。法起寺は、法隆寺とともに世界遺産に登録されている。706年に作られた高さ24mの日本最古の三重塔がある。
西の京
唐招提寺、薬師寺がある西の京。
唐招提寺
唐の高僧、鑑真の開いた唐招提寺。広い境内は、しずかな森のようで、自然と四季折々の花々であふれている。国宝、重文の建物や仏様がたくさんあるので、時間をかけてゆっくり見るのがいい。金堂は日本最大規模の天平建築だが、解体修理中。5月19日にはうちわまきの行事が行われ、ハート型のうちわと餅が参拝者にまかれる。
薬師寺
680年、橿原の地に作られ、平城京遷都とともに現在地に移された。南都七大寺のひとつ。金堂の薬師三尊像、日光・月光菩薩立像は、日本の仏教美術の最高傑作と讃えられる。創建時のまま残る東塔は、高さ33.6mの美しい三重塔。西塔は1981年の再建。2つの塔が1300年の時の流れを感じさせる。
このほか山の辺の道や飛鳥、長谷、吉野や十津川、天川などまだまだ紹介したいところばかり。いずれまた特集したい。
アクセス
JR東京駅 - JR京都駅: 新幹線のぞみで約2.5時間
JR京都駅 - JR奈良駅: みやこ路快速で約40分
JR京都駅 - 近鉄奈良駅: 近鉄線で約40分
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地図
奈良・斑鳩 (英語)
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リンク
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斑鳩町
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