深川
 深川は東京東部に位置する、いわゆる「下町」エリア。大きな商業施設は無く、地元に密着した商店街を中心に生活空間が創られ、また数多くの偉人が愛してきた歴史ある町だ。隅田川から流れ出た支流が街を巡る。門前仲町・木場・清澄白河の3エリアの特色を感じながら、川と共に街歩きを楽しみたい。
門前仲町
永代通りと清澄通りが交わる、門前仲町の交差点。それぞれの地下には地下鉄東西線と大江戸線が走り、都心からも、また海岸沿いからもアクセス至便。アーケードで覆われた永代通りは下町の風情に溢れ、昔ながらのお店や食堂が建ち並ぶ。店先を次々見ていくだけでも楽しい。
永代通りから路地を北に入ると、深川公園に隣り合い深川不動堂が建つ。江戸時代(1603-1867)、歌舞伎の人気が高まり、成田山の不動明王を拝観したいという気運が強まる中で、1703年この地にあった永代寺にて、成田山新勝寺の出開帳が行われたのが始まりとされる。一帯の地名「門前仲町」は即ち、永代寺の門前町、と言うこと。数々の仏が祀られた内仏殿を無料で見学でき、4F宝蔵大日堂の天井画は必見。写経・写仏体験も毎月催される。
隣接する富岡八幡宮は、江戸勧進相撲の発祥の地としても知られ、しばしば境内で本場所も開催された。現在も新横綱誕生の折、奉納土俵入りなどの式典が執り行われる。毎年8月15日を中心に行われる深川八幡祭が有名で、「江戸三大祭」の一つとされ、多くの参拝客で賑わう他、定期的に縁日や骨董市が催されている。敷地内には江戸時代の測量家・伊能忠敬(1745-1818)の像や、神輿の展示がある。
 八幡宮の裏手より東へ抜けると八幡橋。都内最古の鉄橋と言われ、国の重要文化財に指定されている。現在は遊歩道の上に掛かっており、下方からも見学可。ピンの接合部には、菊の紋形の花弁装飾が見事に施されている。
木場
この一帯は元々材木業関連の倉庫及び貯木場が多かったため、「木場」という地名がついた。隣接する埋立地区「新木場」に機能が移転された後、大規模な跡地を使って木場公園が整備された。木場駅からは徒歩5分。植物園やバーベキュー広場などがあり、週末には青空の下でランチを楽しむ家族連れが多く見られる。
公園北部には東京都現代美術館が併設されている。1995年3月開館。約4000点の収蔵作品が展示される常設展では、日本の現代美術の流れを展望できる他、特色ある企画展も随時開催。10時~18時、月曜休館。
清澄白河~森下
地下鉄半蔵門線・大江戸線の清澄白河駅を中心とした一帯から、小名木川を渡って北側の森下方面へ歩いて見たい。江戸文化からアニメの世界の一端まで、好奇心を満たしてくれる施設が揃う。
清澄庭園は、池の周囲に築山や名石を配置した回遊式林泉庭園。東京都指定名勝。江戸期には豪商の屋敷があったと伝えられるこの地だが、1878年、荒廃していた邸地を三菱財閥創業者の岩崎弥太郎が買い取り、三菱社員の慰安と賓客接待を目的とした庭園の造成に着手したのが始まり。後に東京都の所有となり、1977年に現在の形で開放された。
園内には岩崎家が全国から集めたという名石が無数に置かれており、中でも佐渡赤玉石は現在採取が禁止されている幻の石。季節ごとに、ツツジやサツキなど多くの花を愛でることも出来る。池の端に配置された「磯渡り」の石を渡り、池の魚や水面に移る景色を楽しむのもおすすめだが、足元には十分注意して。
清澄庭園から清澄通りを挟んで反対側。深川江戸資料館では、江戸深川の町並みや人々の暮らしぶりを実物大で展示。館内には長屋や船宿、八百屋などが立ち並び、20分間で深川の朝~夜、一日の様子を再現。靴を脱げば建物に上がることも出来、展示に触れることも出来る。建物に挟まれた路地を歩くと、江戸の町にタイムスリップしてしまったかのような気持ちさえしてくる。
※2009年7月から改修工事のため約1年間休館
高橋(たかばし)を渡り、小名木川の北側へ。地元出身の漫画家・田河水泡(1899~1989)は漫画「のらくろ」にて戦争を風刺として扱い、一世を風靡した。現在、メインストリートの高橋商店街は「のらくろード」と称され、日曜には歩行者天国となる。
商店街の近く、江東区森下文化センター内には田河水泡・のらくろ館が開設されており、田河水泡の生涯や作品紹介の展示を見ることが出来る。のらくろグッズが欲しくなったら、のらくろードの各店舗で購入可能。
 高橋の一本西に掛かるのは萬年橋。かつては物流のための運河であった小名木川にかかるこの橋からは、江戸時代には富士山を望むことができ、浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)や歌川広重(1797~1858)などの作品にも描かれている。
萬年橋から徒歩2分で芭蕉稲荷。小名木川の北岸にはかつて、俳人・松尾芭蕉(1644~1694)が居を構えており、彼が37歳まで住んでいたとされる庵の跡地に建つ神社だ。路地を西へ進むと芭蕉庵史跡展望庭園。芭蕉像の元で隅田川と小名木川が一望でき、風が気持ちよい。
さらに北へ足を進めると、松尾芭蕉の書簡や俳文学関係資料が展示される芭蕉記念館が建つ。
さて、万年橋通りから住宅街を抜けて北東へ。幼稚園と隣り合って深川神明宮が建つ。この地を開拓した深川八郎右衛門が屋敷内に祠を建て、伊勢神宮の分霊を祭ったのが始まり。3年に一度、夏に行われる神幸祭は勇壮な水掛祭りとして知られ、12基の町神輿が町を練り歩く。北へ歩みを進めれば森下駅だ。
深川七福神
深川の七箇所に、七難を除き、七福を与えると言われる神々が祀られている。天気の良い日に散策しつつ、七福神を巡り幸せを祈願するのも良さそうだ。元旦より1月15日の間には、色紙・笹・鈴の授与が行われる。
恵比須神(富岡八幡宮)→弁財天(冬木弁天堂)→福禄寿(心行寺)→大黒天(円珠院)→毘沙門天(龍光院)→布袋尊(深川稲荷社)→寿老神(深川神明宮)
都心の喧騒から一歩離れ、東京にいながらゆったりとした空気が流れる深川。道中おなかがすいたら、街中の食堂で「深川めし」を食べて見たい。あさりを炊きこんだごはんは天下一品。深川資料館通りや芭蕉稲荷近くには、一息つくのにぴったりのカフェを見つけることが出来た。道すがら気軽に立ち寄れるお店も多い。
まさに下町、深川歩きをぜひ楽しんで欲しい。
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