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att. 文化 - 日本の夏祭り
att.JAPAN Issue 29, 2006年7月10日号

日本の夏祭り

日本はお祭りの多い国だ。季節ごとに各地でさまざまなお祭りが行われる。なかでも夏は、夏の始まりを告げる七夕祭り、夏真っ盛りのお盆の祭り、そして秋風の立つころのお月見の祭りなどさまざまな祭りが繰り広げられる。

花輪ばやし 花輪ばやし 秋田県鹿角市 2006年8月19日~20日
国立公園である十和田湖と八幡平の中間に鹿角市花輪は位置している。市街地にある幸稲荷神社の祭礼で奉納される屋台囃子が、花輪ばやしである。
8月19日、午後5時半、花火を合図に祭りが始まる。囃子を奏でながら、10町内でいっせいに屋台(山車)が動き出す。若衆たちは威勢のよいかけ声をあげ、全力で太鼓をたたく。午後7時50分、大歓声と拍手に迎えられ、勇壮な屋台が1台づつJR花輪線の鹿角花輪駅前広場に入場。10台の屋台が一直線に並び、各町内自慢の曲や町踊りを披露。囃子の白熱した競演と華麗を極めた屋台の造形美がみどころだ。
10台の屋台と囃子で町内は光と音の世界になる。深夜2時過ぎに稲村橋や枡形で行われる「朝詰」は祭りのハイライト。屋台同士がぶつかりあい、再び囃子合戦が始まる。全屋台が橋上に集まり、暗闇の中をパレードする光景は幻想的。花輪ばやしを見るには徹夜の覚悟が必要だ。

西馬内盆踊り 西馬内盆踊り 秋田県羽後町 2006年8月16日~18日
日本中どの地方にもその土地独特の盆踊りがある。踊りは盆に帰ってきた先祖の霊をもてなすためであり、新盆の霊を鎮魂するためでもあった。昔は旧暦の盆の中日は必ず満月で、盆踊りは夜、月の光のもとで踊りあかされたのだ。
西馬内盆踊りは、700年前に起源を発するという盆踊り。夕闇が迫ってどこからともなく小気味よいお囃子の音が聞こえてくる。午後7時半から子供たちがまず踊り始める。伝統的な踊り衣装をまとった大人たちが混じるのは午後9時くらいから。夜が更けるにつれ踊り手の数は増えていき、10時頃が最もにぎやかになる。通りの両端に篝火を焚き、町いっぱいに大きな輪をつくって回りながら踊る。黒い覆面や編み笠で顔を隠すため、幻想的で神秘的な雰囲気がかもし出される。
にぎやかで勇ましい野生的なお囃子と、優雅で流れるような美しい踊りの不思議な調和。踊りの衣装は、「端縫い」と「藍染め浴衣」。端縫いは、色とりどりのさまざまな絹の端切れを集め、配色や図案の組み合わせを工夫し、継ぎ合わせたものだ。踊り手全員がぴたりと揃って踊るのが、西馬音内盆踊りの特徴。流れるようにゆるやかで能の仕舞を思わせる優雅で複雑な振り付けは月に1度稽古しても習得までに3年はかかるという。西馬音内盆踊りにかぎっては、参加するよりも見て楽しむ盆踊りだ。

山あげ祭 山あげ祭 栃木県烏山町 2006年7月21日~23日
山あげ祭は豪快な野外歌舞伎。真夏の光が跳ねるアスファルト道路が通行止めにされる。総勢150人ほどの若衆たちが、「山」といわれる舞台背景や舞台、花道などを手際よく組み立てていく。山は竹と和紙で作られ、もっとも大きいものは高さ10m幅8mもある。観客の前に据えられた舞台の後ろ、100mにもおよび距離の間に、大きな山、小さな山、雲、館、橋、波などを遠近よく配置する。道路の幅には限界があるが、奥行きは無限といってもよい。遠くまで山があることが、屋内の劇場とは違う独特の舞台効果を作る。若衆の一糸乱れぬ団体行動が見事だ。
三味線の演奏が始まり、町の踊り娘たちが登場。美しい舞を披露する。それぞれの踊り場面に応じた背景を若衆たちの操作でさまざまに変化させる。踊りが終わるたびにこの舞台装置を解体移動して別の場所で組み立てる。この作業も祭りの見どころだ。

キリコ祭り キリコ祭り 石川県 2006年7月初旬から2006年9月中旬
7月初旬から9月中旬まで長期間にわたって能登の各地で繰り広げられる「キリコ祭り」。この祭りには「キリコ」とよばれる巨大な御神燈が担ぎ出され、みこしのお供をして夜を徹して町内を練り歩く。キリコ(切籠)とは、切子灯籠を縮めた略称で、縦長の角型行灯を飾り立てた燈籠のこと。夜空にゆらめく巨大なキリコ。なんとも華麗で荘厳な雰囲気だ。100数十箇所で行われるが代表的な祭りを紹介しておこう。

あばれ祭り 能登町 2006年7月2日~3日
能登キリコ祭りのトップバッター。見どころは1日目の港広場で50基あまりの白木造りのきりこが火の粉を浴びながら乱舞する様。

恋路火祭り 内浦町 2006年7月27日
二基のキリコが威勢良く夜の海中を練り、花火が打ち上げられ、弁天島に設けられた大松明が燃え始め、若者たちが竹ざおにつけた小松明を揺らして火の輪の競演を披露する。

石崎奉燈祭石崎奉燈祭 七尾市 2006年8月第一土曜日
高さ12-13m、重さ2トンの巨大な6基のキリコ。それぞれ100人の担ぎ手が見事な統制で担ぎ、担ぎぶりを競演する。キリコに火が入ると武者絵や大きく書かれた墨字が浮かび上がる。

輪島大祭 輪島市 2006年8月23日~25日
1日目の松明神事が見どころ。キリコが町内を練り歩き、海辺に勢ぞろいし、大松明に火が放たれる。華麗な輪島塗のキリコが林立する。

宝立七夕まつり 珠洲市 2006年8月7日
海中のキリコ乱舞がクライマックス。海中に燃え上がる3本の松明を目指してキリコ群がなだれ込んで行く。

郡上おどり 郡上おどり 岐阜県郡上市 2006年7月15日~2006年9月9日、徹夜おどり2006年8月13日~16日
城下町郡上市八幡町は盆踊りの町である。町は今で江戸時代の面影を残し、盆踊りのかけがえのない踊り舞台となっている。
郡上おどりは7月中旬から9月上旬にかけて32夜にわたって踊られ、なかでも8/13から4日間の徹夜おどりは圧巻。お囃子と下駄の音、それに川のせせらぎが重なって山あいにこだまする夏の夜の風情。夜明け近く、東の空が白々と明けゆく頃まで、夜の短かさを惜しむように踊りがつづく。
江戸時代から踊り継がれてきた郡上おどりは10種類。いずれも簡単な所作と振りなので、踊りの輪が広がっていく。郡上踊りは見るよりも参加して楽しむ祭りである。飛び入りで参加できる。洋服でもかまわない。踊り1曲は約20分。郡上おどり保存会の人や踊りの得意な人が輪の中心近くで踊っているので、見よう見まねで踊ってみよう。

尾張津島天王祭 尾張津島天王祭 愛知県津島市 2006年7月22日~23日
日本三大川まつりのひとつに数えられる「尾張津島天王祭」。
津島神社の祭礼として500年の伝統を誇る。この地に生まれた織田信長や豊臣秀吉も見物したと伝えられる。
天王川河畔には桟敷が設けられ、水上には屋形船、観覧船がひしめき祭りの始まりを待つ。午後6時、長唄三味線、神楽太鼓がにぎやかに鳴り響く。午後7時天王川に浮かぶ5艘のまきわら船の提灯に灯がともされ、宵祭がはじまる。まきわら船が、津島笛を奏でながらゆうゆうと天王川を漕ぎ渡ると、揺らめく提灯が川面に映り、まきわら船はその美しさをさらに際立たせる。
翌朝、まきわら船は提灯飾りが取り払われ、車楽船に変身する。この取替え作業は夜を徹して行われる。絢爛豪華な幕、優美な彫刻が施された屋台、高くそびえる屋根の下には能人形がおかれている。
朝祭は、6艘の車楽船が楽を奏でながら漕ぎ進む。先頭の船から10人の鉾持が布鉾を持って水中に飛び込み、川を泳ぎ、神社に向かって勇壮に走る。

那智の火祭 那智の火祭 和歌山県那智勝浦町 2006年7月14日
紀伊半島の南東部は熊野といわれ、古来より聖域として崇められてきた。なかでも那智の滝は高さ133mの大滝で、神と崇められてきた。この那智山の中腹にあるのが熊野那智大社。那智の火祭りは、熊野那智大社の例大祭として行われてきた、豪壮な松明の燃え盛る火の神事である。祭礼は午前10時の祭儀にはじまり、稚児による舞が奉納される。
「御火行事」は午後2時頃より始まる。那智の滝の石段を降りてくる12本の真っ赤な扇神輿を、燃える大松明で迎え清める。檜で作られた大松明の重さは約50キロ。白装束の、力自慢の松明持ちが担ぎ、薄暗い石段を数十分にわたって行き来する。
昼なお暗き杉木立に囲まれた石段を舞台に、火の粉を飛ばして燃え盛る大松明、照らし出される扇神輿の神事は祭りのクライマックス。見ているものを神秘の世界へいざなう。

阿波おどり 阿波おどり 徳島県徳島市 2006年8月12日~15日
400年の歴史を持つ阿波踊りは、参加者、規模とも日本一。鉦・太鼓・三味線の強烈な南国リズムにのって、だれもかれも踊る。日本国中どの地方にもその土地独特の盆踊りがあるがそれらの中でもとくに有名だ。
徳島市の中心部一帯を舞台として午後6時に始まり午後10時30分まで各会場で踊り続けられる。夕刻になると会場を彩る赤と黄のぼんぼりに灯がともされる。しなやかな女踊り、迫力のある男踊り。リズムが早調子にあがっていくにつれ、踊り手の手さばき、足さばきは激しくなり、高揚感は頂点に達する。
阿波おどりは見る以上に踊ったほうが断然楽しい。町内や有志などで、30人から500人の連という集団が作られ、4日間で例年900以上の連が町に乱舞。観光客が気軽に参加できる「にわか連」も結成され、踊りのレッスンとリハーサルを経て踊りを披露できる。なんといっても阿波おどりは浮き浮きして陽気なのがいい。

山鹿灯籠まつり 山鹿灯籠まつり 熊本県山鹿市 2006年8月15日~16日
まつりは、8/15の奉納灯籠の飾りつけで幕を開ける。有名な神社やお城などをかたどった灯籠が街角に飾られる。灯が入ったものだけではなく、和紙と糊を使って作られたものすべてを山鹿灯籠と、山鹿では呼ぶ。木や金具は一切使わない。山鹿灯籠はもともと大宮神社への奉納物。千人踊りの踊り手たちがかぶる金灯籠は小さいものだ。
メインイベントは千人灯籠踊り。灯をともした灯籠を頭上に載せた女性1000人が踊りを披露する。頭の上の金灯籠で隠された灯が踊りにつれてゆらゆらと光をこぼす。いく重にも円陣をくんだ、浴衣と赤い帯の千人もの女性の頭上の光。灯の海が揺れる。踊りはこまかな所作を必要とせず、大きく簡素かつゆっくりであり、その単純さがかえって優美な雰囲気をかもしだす。1000もの灯籠の灯は幻想的で、大輪の菊の花が揺れているようだ。千人灯籠踊りは山鹿小学校グランドで8月16日夕方の6時45分からと9時20分からの2回行われる。

 


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