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高松・琴平・松山 (ATT.JAPAN ISSUE 34)

日本列島を形成している主要4島のひとつである四国は西日本に位置し、長きに渡り本州との交流が活発であったにもかかわらず、独自の文化と伝統を生み出すことに成功してきた。悠久の自然と名所旧跡、さらには食文化にも恵まれたこの地の魅力を紹介したい。今回は四国の北部、瀬戸内海側を巡る。

香川県
四国の北東に位置する香川県は、近年良質のゴルフ施設で注目を集めているが、香川の魅力はもちろんそれだけではない。豊かな自然、心地良い街並みと人々の温かみに触れる旅に出かけよう。

高松
高松は香川県の県庁所在地としての機能を果たすと同時に、東四国の中心として栄えてきた。本州の人々がこの海洋都市を訪れる際は、フェリーで高松港へ、もしくは瀬戸大橋を渡ってお隣坂出市経由での高松インが定番コース。遠隔地からは飛行機利用が便利。

高松駅から歩いて20分、栗林公園は1953年に特別名勝の指定を受けた、75ヘクタールの回遊式公園。紫雲山の山並みが背景として公園と一体化しており、印象的。別名「一歩一景」と呼ばれ、季節・時間・天候によって全く異なった顔を見せ、何度来ても楽しむことが出来る。公園内を散策するときは、時間を取ってゆっくりとその美景を鑑賞しながら(偃月橋越しに掬月亭を望む風景が旅行者に好評)、散策路に点在する茶室で緑茶を楽しみたい。

高松駅から電車(JR)に乗って23分で屋島へ。高松市内の郊外に位置し、瀬戸内海に浮かぶ島々の眺めは素晴らしい。日本で最初にオリーブ栽培が始まったことで知られる小豆島も望める。日本の伝統的な家屋や建物を見たいなら四国村へ。入り口には、来客者の度胸を試そうとかずら橋(木製のつり橋)が待ち構えている。内部には33の日本古式民家および建築物が立ち並び、家屋内には有形民俗文化財指定の農具も展示されている。

長期休暇の過ごし方を考えている、もしくは芸術・アートに興味あり、そんな人はぜひ直島を体験してみよう。今や世界の人々を虜にしているこの「芸術アイランド」へは、高松港からフェリーで50分。

その姿形は、緑と丘を持ち合わせたいわゆる普通の島のようなのだが…一歩足を踏み入れると、そこに広がるのは一面ガラスのスタイリッシュな建物や、海辺にたたずむ奇妙極まりない形のモニュメント。なにやら芸術性を帯びた「モノ=芸術作品」が島の各地に点在し、また直島自体もクリエイティブにプロデュースされている。島内にある2つの美術館(ベネッセハウス・地中美術館)は建築家安藤忠雄によって設計され、多くの芸術家たちをひき付けている。小高い丘から望めるオーシャンビュー、穏やかな空気に包まれたこの平和空間で、ロハススタイルの休暇を過ごしてみてはいかがだろうか(住みたい、なんて思ってしまうかも…)。

かつて、ある上皇がこの地を訪れた際に、島民の純粋さに感心して「直島」と名付けたとの言い伝えられているこの島は、今や現代アートの聖地としてその名を急速に広めている。

琴平
ご存知の通り日本語では、人名の後ろに「さん」を付けて尊敬の意を表している。ここ琴平の地では、金刀比羅宮は親しみを込めて「こんぴらさん」と呼ばれており、地元民・観光客問わず多くの人に愛され続けてきた。

1000年を越える歴史を持つこんぴらさんに祭られているのは、古来の天皇および大物主神(おおものぬしのかみ)。大物主神は農業殖産、漁業航海、医薬、技芸など広汎な神徳を持つ神様と言われ、広く信仰を集めている。

はるばる琴平の地を訪れた旅行者を待ち構えているのは、合計1368段にも及ぶ石段。焦らず急がず、時間を取って呼吸を整えて、ゆっくり上るのがベスト。両脇に立ち並ぶ露天や店で買物をし、軽食を取りながら参道の旅を楽しもう。疲れたら石段かごに乗っての移動も楽しめる。785段目、本宮から見降ろす絶景の街並みは、疲れた体には何よりの清涼剤。

琴平からJR土讃線で5分、善通寺もまた趣深い。善通寺市は弘法大師空海の生誕地。彼の父親が、善通寺建立の際に自らの土地を寄進したというエピソードも残っている。

道中運がよければ、白装束に麦わら帽子、手には杖を持った一行を見かけることも。彼らは「お遍路さん」と呼ばれる修行者で、四国88箇所巡礼の真っ只中。善通寺は88箇所の第75番札所として、お遍路さんたちの訪問を長い間見守り受け入れ続けてきた。

観音寺も札所の一、訪ねてみたい(第69番)。隣接する琴引公園の海辺には、銭形砂絵と呼ばれて有名な、江戸時代の銭貨を模した巨大な砂絵があり、見たものはお金に不自由しないという言い伝えがある。真偽の程はともかく、その見事さは一見の価値ありだ。特に夕暮れ時、赤く染まる砂絵と海とのコントラストをお見逃しなく。公園内には「世界のコイン館」があり、世界中の硬貨が展示され、その歴史を紹介している。

香川県はかつては讃岐と呼ばれており、その名は地名としてよりもむしろ食べ物として知れ渡っているだろう、何を隠そううどんである。小麦粉から作られ、白くて太く、軟らかさの中にも歯ごたえがあるこの食べ物、日本列島で知らない人はいない。だが、香川県民のうどんに対する愛着も、他に類を見ないほど強く、パーティや結婚式などにも欠かさず登場するアイテムとなっている。香川を旅行するときは、ぜひ街角のさぬきうどん屋にも寄ってみよう。安くて早くてうまい、地元密着型ファーストフード。自分で麺を湯通しするセルフうどん屋もある。

骨付き鶏肉も香川の特産物として、近年注目を集めている。県内には数多くの骨付き鶏肉屋があり、店独自の味付けを比較しながら食べ歩くのもまた楽しめそう。

愛媛県
著名な作家たちが自然豊かなこの地を気に入り、愛媛を舞台にした小説を発表してきたほか、テレビドラマや映画の撮影も数多く行われてきた。また、愛媛はフルーツの産地として知られており、代表的なものとしてキウイやみかん・いよかんがある。

松山
愛媛の県庁所在地であり、四国を代表するこの街には、西四国はもとより、瀬戸内海を越えて広島など本州からも買い物・娯楽を楽しみに来る。ただ観光客にとってはむしろ、日本で最古の温泉郷としてその名が知られているだろう。また松山は多くの俳人を輩出しており、市内のあちらこちらに「俳句ポスト」が設置されているのもおもしろい。一句浮かんだらぜひ投函してみたい。

街中を走り、市民の足となっている市電は、ツーリストたちの市内観光にも便利。夏目漱石の小説「坊っちゃん」にも登場し、主人公は松山市内の高校で教鞭を取っている。彼の「坊っちゃん」と言うあだ名は市内の施設名にも登場し、例えばなつかしの汽車型市電は「坊っちゃん列車」と呼ばれている。観光の際に乗ってみても楽しいだろう。

市の中心に聳え立つ松山城は、名将豊臣秀吉の家臣として名を馳せた加藤義明が1602年に建立を開始。400歳を迎えた松山市のシンボル、丘の上に立つその優美な姿は街中のどこからでも望むことが出来る。

松山に来て、どうしても忘れてはならないもの、それは道後温泉。日本最古級、3000年の歴史を持ち、神経痛やリウマチ・貧血症などへの効果がある高品質の温泉だ。ホテル内の浴場で楽しめるほか、温泉街の中心に立つ道後温泉本館(公衆浴場)で入浴可能。趣あふれる木造の建物の中は、地元民と観光客で連日賑わっている(400円~)。

せっかくの海の景色を楽しみたい、体を動かしながら自然を楽しみたい、そんな人はお隣今治市まで足を伸ばしてみよう。しまなみ街道と呼ばれる海上高速道路が1999年に完成、今治から広島県尾道市までを、瀬戸内の島々を通りながらつないでいる。サイクリングロードも車道と併設されており、街道の入り口では乗り捨て可能なレンタサイクルを借りられる。はるか先まで続く海景を望みながら、青い空と海を駆け抜けてみよう。

松山の名産デザートとして知られているのがタルト。中に餡子を挟んだロールケーキ状のスポンジをカットしたデザート(洋菓子として知られるフルーツパイのタルトとは異なるので注意)。17世紀、ポルトガルから伝来したとされているが、当時のタルトは中にジャムが入ったスポンジケーキだったものを、松山独自に発展させたタルトは、和洋折衷のユニークなお菓子として好評。

うどん作り体験
香川を旅行していると、いたるところで目にするうどん屋。ぶらりと立ち寄ってお腹を満たすには最適だ。もしうどんが気に入ったなら、帰る前にその作り方を習得してみてはいかがだろうか。

こんぴらさんに続く石段のふもとに、日本中で類を見ないほどおもしろい学校がある。学校と言っても数学や理科を教えるわけではなく、科目はただ一つ、「うどん作り」だ。

「この学校はね、『踊るうどん学校』って呼ばれてるみたいなのよ~」と笑いながら話すのは、松永澄子校長先生の言葉。彼女は自分のことをまっちゃん、のニックネームで呼ばせ、生徒を楽しませることに全力を置いている。「楽しさを提供するのは当然のこと、何をするのも楽しくなくちゃ。」まっちゃんは以前は看護婦だったこともあり、うどん作りのエクササイズで健康になろうと呼びかけてもいる。

さあうどんを作ろう、ということで、小麦粉と格闘していると、まっちゃんは突然音楽をかけ始めた。「さあ踊りましょう!」という彼女自身はすでにノリノリで、Jポップ音楽に合わせて体を動かしている。私は不覚にも、その姿をみて呆然と立ち尽くしてしまった。だがこの状況では、踊らざるを得ない…彼女のまねをしながら少しずつ体を動かし始めてみると、魔法にでもかかったかのように、いつの間にか驚きや恥ずかしさは吹き飛び、純粋にダンス(と料理)を楽しんでいる自分に気がついた。

捏ね上げた後、熟成した生地を切り、沸騰したお湯の中に入れてしばらく待つ。自分で作った麺が…これほど美味しいとは、予想できないもできなかった。醤油と生玉子で、おろし大根で、もちろんかつおだしのめんつゆでもいただける。一口ごとに味わうのどごしともちもちとした食感から受ける衝撃は、やみつきになってしまいそうだ。

「うどんを作ることは、ある意味では子育てと似ているの」まっちゃんは真剣に語る。「力任せにおしつけても無意味。愛を持って小麦粉を混ぜ、優しくこねることが大事。」

参加してくれた人たちが、ここで習得したうどん作りの技術を持って返ってくれることが何よりもうれしいと、彼女は言う。小麦粉と麺棒さえあれば、うどんはいつでもどこでも作ることができる。手作りの日本の味を、母国の家族にごちそうしてあげてはいかがだろうか。

四国88箇所巡礼
かつて、都から遠く離れた四国は辺地と呼ばれており、また修行の場として考えられていた。この地に生を成した空海は、自身の鍛錬のために四国を回り、修行に勤しんだ。死後、彼の弟子たちは師匠の足跡を辿り四国を回って修行をし、これが現在知られる四国88箇所巡礼のきっかけと言われている。

今日、巡礼は「現代化」を遂げ、観光イベントの一つとなっている。いわゆる自分探し、もしくは癒しを求める人々がこの地に救いを求めてやってくる。徒歩での巡礼だけでなく、車や自転車での廻ろうとする人もおり、また団体旅行者がバスで巡るパターンもある。

毎年、30万の巡礼者がこの地で寺を廻る旅に出る。彼らの独特の服装(白装束に麦わら帽子)は、四国を代表する風景の一つに数えられる。

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