Destinations

岡山・倉敷・尾道 (ATT.JAPAN ISSUE 38)

山陽地方は、西日本の中心・大阪より更に西、およそ500kmに渡って東西に聳え立つ中国山地の南側の地域である。南には瀬戸内海が開け、年間を通して降雨が少ない。今回は山陽道の中でも特に注目を集める岡山~倉敷~尾道を中心に、その魅力に迫る。

岡山
山陽地方の交通の要衝。山陰(中国山地を挟み反対側)へ、また瀬戸内海を渡り四国へと到る鉄道のターミナルとして、その役割は大きい。山陽新幹線岡山駅を出ると目に飛び込むのは、動物を引き連れたコミカルな石像。モチーフである「桃太郎」は、岡山に伝わる伝説が発祥とされ、日本を代表する昔話のひとつである。桃から生まれた主人公が犬・サル・キジをお供に引き連れて鬼退治に行くという話の中で、度々登場する「きび団子」は、現在でも岡山の名産品だ。

街の探索には市電が便利。岡山駅前から3駅、城下駅で下りれば、名所岡山城へは徒歩5分。1597年に完成した元の城は戦災によって消失したが、1966年市民の協力で再建された現在の岡山城も創建当時同様、黒々とした壁が実に印象的だ。色使いから「烏城」とも呼ばれており、一般的な白壁の城とは違う趣だ。天守閣の内部には、かつて城主が生活をしていた「城主の間」の遺構が再現されている他、江戸時代の大名や市民の暮らしについても紹介されている。

岡山城から橋を渡って隣には、日本三名園のひとつ「後楽園」が広がる。およそ4万坪の敷地を誇り、開放感に溢れ、一面の芝生が緑鮮やかに生い茂る。江戸時代に岡山藩主・池田綱政公が作り上げて以来300年、復旧されながら、優美さを保ち続けている。園内には茶店もあるので、休憩がてら四季折々の景色を楽しみながら、抹茶や団子の美味を堪能しよう。芝生内に入ることの出来る区域もあり、晴れた日には日光浴が気持ちよい。

牛窓
牛窓は、瀬戸内海に面した街で、日本の夕陽百選のひとつ。四国と本州に挟まれた海は波が少なく、昼間は海面の色もグラデーションがかかったように美しい。満月の夜は、月光が海に長くのびて映る「ムーンロード」も楽しむことができる。海面には小豆島のような大きな島から無人島のような小さな島まで多くの島々が浮かんでいる。気候もエーゲ海に似ていて晴天率が高く、オリーブの生産も盛ん。

街並みは、リゾートホテル等のヨーロッパ風建物と、純和風の格子窓や白壁の家並み、造り酒屋の豪商屋敷等、昔からの漁港町の雰囲気も残している。海岸沿いから山あいのオリーブ畑を抜けるレンタサイクルでのサイクリングがお勧め。瀬戸内海のおいしい海の幸をオリーブオイルで調理した洋食も楽しめるが、目の前の海で獲れたタコのしゃぶしゃぶもぜひ試したい。

侘び寂びの焼き物の町、備前
焼き物の窯からのびる赤レンガの煙突がつきでた家並みの町、備前。備前焼は、釉薬を使わない、絵付けもないので、土と形と炎の加減で作られる素朴な魅力の焼き物。1000年以上の歴史を持つが、茶道が始まった4~500年前から、侘び寂びを表現する器として珍重されてきた。

JR伊部駅を降りると駅前には備前焼の窯と煙突をイメージした建物の備前焼伝統産業会館があり、陶芸体験ができる。駅周辺には作品を出窓のようなウインドーに並べる昔ながらの備前焼の店が連なる。お土産で買ってみたいのは、一輪ざし。備前焼は、絵付けがないので花を活けて花が映える器。しかも釉薬を使っていないので、器が呼吸するため、花が長持ちするそうだ。ビールをはじめ、お酒もおいしく飲めるとのことで、酒器もお薦め。食べ物は、醤油の蔵元が開発した「醤油アイスクリーム」が名物。ちょっとしょっぱくて美味しい。また、日本最初の庶民の学校で、国宝に指定されている閑谷(しずたに)学校も近くにある。

倉敷
蔵の街として知られる倉敷。中世まではその大部分は海の中であった。江戸期(1603-1867)に盛んになった干拓によって陸続きになった土地に、商人たちによって自由な雰囲気が醸成されつつ商業が栄えていった。

駅から真っ直ぐ南へ、倉敷中央通を歩いて10分。昔の街並みを残した「倉敷美観地区」には、当時の活気溢れる街並みの様子が再現されている。道路の舗装が石畳に変わり、道沿いには穏やかな川の流れ。店先からは美味しそうな匂いが漂い、道には屋敷や蔵などの建物が立ち並ぶ。道には雑貨商や絵描きが威勢良く客寄せし、人力車が観光客を乗せ走っている。川の上ではボートで午後のひと時を楽しむ人の姿も。町全体に穏やかな空気が流れている。

白と黒が基調の蔵が立ち並ぶ中で、開け放たれた戸から色鮮やかな雑貨が顔を覗かせる一角がある。「日本郷土玩具館」は1967年、江戸時代の古い米倉を利用して創業された。全国各地の郷土玩具に加え、海外の物も含めて四万点を保有、そのうち約5000点を展示。かわいい小鳥の笛(神社のおみやげ物として人気になったらしい)や、「だるま」とよばれる赤くて丸い人形、他にもサイコロを振って遊ぶ昔ながらの「すごろく」や空に上げて遊ぶ凧など、その展示品の豊富さに飽きることがない。有料展示は大人500円、無料展示もあり。ギャラリー・カフェを併設している。

突如現れるギリシャ神殿風の建物は「大原美術館」。1930年、倉敷を基盤に幅広く活躍した事業家大原孫三郎が、前年死去した親友であり画家の児島虎次郎を記念して設立された、西洋美術中心の私立美術館としては日本初の美術館。エル・グレコの名画『受胎告知』を初めとした数多くの傑作と呼ばれる西洋画が揃う本館・分館の他、工芸館・東洋館に展示されている日本近代美術作品の陶芸・版画もお見逃しなく。

美観地区の川沿いを外れて徒歩3分。赤煉瓦に蔦の絡まる外観がかわいらしい「倉敷アイビースクエア」は、明治時代に建てられた紡績工場を改築して、現在では観光客が泊まれるようにしている。ロビーや通路も、赤と黒の格子柄の床に、西洋風の窓とランプが配されおしゃれな造り。中庭も開放感が漂い、一息つくのにちょうど良い。

美観地区を後にし、倉敷駅を通り抜けて反対側に出ると目に飛び込むアトラクション。「倉敷チボリ公園」は駅から北側徒歩1分、デンマークはコペンハーゲンにあるテーマパーク「チボリ公園」と提携して作られた遊園地。昼間は、アンデルセン童話の世界を楽しむ家族連れで賑わう。夜にはアトラクションや道沿いがライトアップされ、まるで宝石箱に入り込んでしまったかのように眩く美しい。窓口でお得なイブニングチケットを購入し、童話の世界に浸りながら、気ままな夜の散歩を楽しんでは如何だろうか。

尾道
瀬戸内海に面し、古くから海運によって栄えてきた尾道。1999年、しまなみ街道の開通によって四国の今治市と結ばれ、交通の要衝としての地位を上げつつある。映画のロケ地として選ばれることも度々あり、日本映画に興味のある人はゆかりの地を廻ってみるのも楽しい。

街並みを一望できる千光寺公園が、駅の背景に聳える小高い山の中腹から山頂に渡って広がっている。春には桜、夏は藤、秋には菊と、四季折々の豊かさは見る物を飽きさせない。細い路地を抜けて、石段を登り、地元の人々と挨拶を交わしながら町歩きを楽しもう。公園入り口まではロープウェイも通っているので、予定やコンディションに合わせたコース選択も出来る。また、千光寺を初めとした7つの寺を巡る「七佛めぐり」も面白い。朱印帳も販売しており、お参りしながら集めた朱印は旅の良い思い出になるだろう。

高台からの景色で瀬戸内海に魅せられたあなたにオススメしたいのが、江戸情緒を残す街・鞆の浦と倉敷を結ぶ1時間クルージングの旅。冬季を除く土・日・祝日運行。海上から見る瀬戸内の街並みに、どこか懐かしさを覚えずにはいられない。

尾道に来たら、腹ごしらえには是非ラーメンを。「尾道ラーメン」の名で知られ、どんぶり一面に浮かぶネギと豚の背脂が食欲を誘う。醤油ベースのスープに、瀬戸内海で上がった小魚を隠し味で加えて絶妙の味を作り出している。

自転車に乗ってどこまでも…しまなみ街道
しまなみ街道は1999年、尾道から瀬戸内の島々を経て、愛媛県今治市まで到る海上高速道路として完成した。車道とともに歩行者・自転車路も併設されており(島間横断料金 自転車100円・歩行者無料)、海の上のサイクリングコースとして幅広い人気を集めている。尾道港の脇にはレンタサイクルショップもあり、気軽に利用できる(1日500円~)。

潮の香り漂う島の空気。大橋から望む海の景色は圧巻。島々をつなぐしまなみ街道の大橋以外大きな建物も見当たらず、人々はそれぞれいつもどおりの暮らしを送っている。本当の意味での日常が見られる場所だ。もっとも、レストランや休憩所も多くあるわけではないので、その点はお気をつけて…。

生口島にある耕三寺は、太平洋戦争を挟み、30年あまりの歳月をかけて完成した。日本を代表する古建築を手本としつつも改良を重ねた多数の寺院建築が立ち並び、その多くは国登録有形文化財に指定されている。境内の裏手には、広島県出身の彫刻家杭谷一東氏が設計・制作に当たった5000平方メートルに及ぶ大理石の庭園「未来心の丘」が広がる。伝統的な建築と、創造的なモニュメント-相反するようで見事に調和しているこれらの作品を、心行くまで鑑賞して欲しい。また、この近くには、地元出身で戦時中被爆しながらも画家として意欲的な活動を続けてきた、平山郁夫氏の美術館がある。

日本の美しい自然、歴史、美味しい食べ物にあふれた山陽。ぜひ一度訪ねてほしい。

関連スポット

スポットリスト

Recommended Restaurant

Recommended Destinations

Recommended Event

AD

Copyright © 2000-2012 FINEX Co., Ltd.